3歳がおもちゃを取り合いする理由とその対処法

3歳の子供がおもちゃを取り合う理由

子どもが3歳になった頃から、児童館でのトラブルが増えたんです。おもちゃをお友達と貸し借りできなくなってきて。貸してあげてって言っても「イヤだ!」の一点張りでケンカになったり、ひどいときはお友達が泣いても譲れなかったり。
以前はこんな事なかったのに、どうしてしまったのかしら。もうすぐ幼稚園なのに、と心配しています。

お母さん

ますみん

そうなんですね。おもちゃの取り合いって小さい子にはよくあることだけれど、お母さんは困りますよね。優しい子になってほしいと思うし、幼稚園入園を控えて、集団での過ごし方も気になるのは当然のです。
でも実は、3歳がおもちゃの取り合いをするのは当たり前のことなの。むしろそれまではしなかったというなら、立派な成長の証とも言えるんです。どういうことなのか、ちょっと一緒に見ていきましょう。

3才児がおもちゃを取り合いする理由

2歳まではお母さんが「はいどうぞ、して?」というのを合図に素直におもちゃをお友達に渡せていた子も、3歳になると「イヤ!」「これボクの!」などと言い始めます。
お母さんからすると
「イヤイヤ期の続き?」
「あんなに素直だったのに、どうして?」
と困ったり混乱したり。でもこれにはちゃんと理由があるのです。

3歳は社会性が育つ過程

2歳までできていたことが3歳になってできなくなるというのは、毎日子育てを頑張っているお母さんからすると進歩がない、むしろ後退したと感じてしまいますよね。なんでだろうと思い悩んだり、ドッと疲れて肩が重くなる、というお母さんのお話をよく聞きます。

実は2歳までに「はい、どうぞ」ができていたのは、単にお母さんの真似をしていただけなのです。そこに自分の意思や譲り合いの心は存在しません。

ますみん

実は私も、長女がちょうど3歳の頃、同じようなことで悩んだ経験があります。すごく穏やかな子だったのに、お友達に譲ったりできなくて「優しい子だと思ってたのに…」という感じ。でも実はちゃんと理由があると分かって安心することができたんです。

3歳は、自分と他人、家族とそれ以外、などという区別が徐々に付き始める時期なのです。これは脳の発達と関係しています。人と触れ合う頻度や外を出歩く頻度である程度前後がありますが、それまでは家の中、家族だけが世界の全てだったのが、実はそれ以外にも世界がある、ということを理解し始めるのです。

幼稚園や習い事のスタートが3歳ということが多いのはそのためです。3歳になるとこういった区別が付き始めるため、社会性が育ち始めるのです。

社会性と同時に自我も育つ

「社会性が育つなら、どうしておもちゃの取り合いになるの?」
と思うかもしれませんね。社会性は3歳で身につくのではなく、育ち始めるのです。つまり、まだまだ不十分、ということがひとつ。

それともうひとつが、自分と他人の区別がつくということは、自分の意見と他人の意見が異なるということも分かり始めるということ。
そして3歳はまだ自分を押さえて人に尽くすということはできません。だから自分の意見が先に立ち
「そのおもちゃボクの!」
「イヤ!貸さない!」
となるのです。

これは自我の育ちで、誰もが通る道、立派な成長の過程です。ある意味喜んでよいことなのです。

ますみん

ちなみに自主的に人を思いやる気持ちが育つのはだいたい5歳前後。3歳には「人にやさしく」「思いやりを持って」ということ自体がまだまだ難しい、ということを覚えておくと、少し気持ちが楽になると思います。

イヤイヤされたときの対処法

そうなんですね。うちの子だけじゃない、みんなそんな時期があるんだと言ってもらえるとちょっとホッとしました。でも実際に児童館で取り合いになると、親としては困るのも事実。気持ちよく貸してあげられるようになるにはどうしたらいいんでしょうか?

お母さん

ますみん

そうですね、お母さんからすると実際にそんな場面に遭遇すると困ってしまいますよね。思いやりの気持ち育てていくためにも、譲り合いの習慣はつけていきたいもの。ちょっとしたコツがあるので、こちらでシェアしますね。

自分と他人の「区別」を理解させる

自分と他人の区別がついてくるということは「これは誰のもの?」という認識も付き始めるということです。
でも3歳はその認識がまだあいまい。自分の持ち物はもちろん自分のものですが、児童館などで共有するおもちゃも
「自分が遊んでいるのだから自分のもの」
「それで遊びたいと思っているのだから自分のもの」
という具合に、イマイチはっきりとした理解には至っていません。

そして自分の物である、という認識は所有感でもあります。自分が所有している、つまり貸しても必ず返ってくるという確信が持てると、人に貸すことができるようになります。これは共有のおもちゃの場合は、後で必ずそれで遊べる、という確信です。その確信をもたせてあげることが第一段階としてとても大切になります。

でも「後で使ったらいいから」「また返してもらえるから』などという言葉では、3歳の子どもには伝わらないのが正直なところ。では実際に子どもにどう伝えたらいいのでしょう。

貸し借りができるようになる言葉がけと順序

まずは、子どもの所有感を満たしてあげましょう。
それにはおもちゃについて質問するのが一番です。

「これ誰の?」
「どうやって遊ぶの?」
「ここどうなってるの?」

など、子どもに遊び方や仕組みを質問して、説明してもらいましょう。きっと得意になって色々と教えてくれます。ひとしきり聞いたら「ありがとう」とお礼を伝えましょう。

そして「〇〇くんもこれで遊びたいんだって。一緒に遊べる?」と聞いてみてください。この段階で「いいよ」と言ってくれる確率はぐっと上がります。

もちろん、ここでまだ「イヤだ」「ボクの!」と主張する子もいます。
そんな場合は、今度はその気持ちに共感を示してください。

「そうなんだ、貸したくないんだね」
「今コレで遊びたいのね」
「このおもちゃ大好きだもんね」

という具合です。子どもが思っていることを言葉にしてあげてください。
それが子どもに「お母さんは分かっているよ」と伝えるメッセージになります。

自分の気持をお母さんが理解してくれた、と思えると、子どもはものすごく安心します。
するとこちらの言うことにも聞く耳を持ってくれるのです。そのタイミングで条件を提示してみましょう。

「じゃああと1回遊んだら交代しようか」
「あと3分だけこれで遊ばせてもらう?」

などです。
「うん」と言ったら約束をしましょう。そしてその約束を守るのです。
結構な手順が必要だと思うかもしれませんが、無理やり「貸してあげなさい!」というより、よほど平和に早く交代できます。

お母さんの気持ちで善悪を伝える

そして最後に

「上手にはい、どうぞができたね!お母さん嬉しいよ」

と伝えましょう。貸し借りができるとお母さんが嬉しい、ということが分かってくると、貸し借りするのはよいことなんだと分かります。
小さい子どもは善悪の判断をつけるには、理屈ではなくお母さんの気持ちで伝えるのが一番です。

ますみん

これを何度か繰り返すうちに、少しずつ自然に貸し借りできるようになっていきます。遠い道のりに感じるかもしれないけれど、頭ごなしに叱ったりするよりずっと効果的。お母さんも子どももストレスが減ります。ぜひ試してみてね!
おもちゃの貸し借りまとめ
①できない時にいきなり叱ってもうまくいかないと認識すべし
②まずは子どもの所有感を満たす!おもちゃについて質問しよう
③子どもの「貸したくない」気持ちに共感する。子どもの思いを言葉に出す
こちらの条件を示す。「あと◯回」「あと◯分」など
⑤条件を守ってくれたら「お母さんはうれしい」と伝える